1. なぜMFAが誕生したのか〜歴史を振り返る〜

セキュリティ対策とは、一言で言うと「正義の味方と悪の終わらない戦い」。

正義の味方が新しい守りを編み出すと、悪は必ずその裏をかく方法を編み出してきます。そして正義の味方はまた次の守りを作る――。この攻防の歴史をたどってみると、なぜ今 Salesforce が、パスキーという新しい認証方式を義務付け始めたのかが分かります。

フェーズ1:パスワードだけで守っていた時代(合言葉の戦い)

インターネットの黎明期の防御は、いわば城の入り口に門番を立て、通りかかった者に「合言葉」を答えさせるシンプルな仕組みでした。ユーザー認証はID とパスワードだけが頼りで、「本人しか知らない合言葉を正しく答えられた者だけを城内(サービス)に通す」というルールだけで守っていたのです。

**➔ 結果:**門番は「合言葉が正しいかどうか」しか見ていないため、一度でも合言葉が盗み聞かれれば、あとは誰でも――敵の忍者であっても――味方と同じように城内に入れてしまいます。「合言葉ひとつだけ」の防御では、もう城を守りきれなくなりました。

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IDとパスワードだけの認証では、一度漏れたらその情報を手にした人は誰でもログインできてしまう。合言葉ひとつだけでは、本人か別人かを見分ける手がかりがない。

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フェーズ2:IPアドレス制限の導入(場所の戦い)

パスワードを盗まれるなら、「アクセスできる場所」を縛ればいい。そう考えて自治体や企業が導入したのが、特定のネットワークからしかアクセスを許可しない「IPアドレス制限」です。

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IPアドレス制限は**「誰がアクセスしているか」ではなく、「どこからアクセスしているか」しか見ていない**ため、ハッカーが信頼されたネットワークになりすませば、味方のフリをして堂々と内部に入れてしまう

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